屋上菜園

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いつの頃からか、生まれ故郷の四季を懐かしく思う自分が居る。実家の庭続きには百坪くらいの畑があって、四季折々、様々な野菜が収穫できていた。ここ数年の異常気象や天候不順で、普段なかなか季節の移ろいが分かりにくい中、唯一私は、商店街の通りすがりに、八百屋の店先に並んだ野菜や果物を眺めて季節を感じている。

少し前、京都に住む友人から「とてもお洒落な八百屋がある」と教えてもらい、立ち寄ってみた。中京区に新しくできた「八百一」というスーパーである。野菜を主体に、日本の農業に関する啓蒙活動の一環として作られたという。色とりどりの新鮮な野菜や果物が豊富に並ぶ中、屋上に作られた菜園が異彩を放つ。

丹波の畑土を200トンも搬入した本格的な畑で、私の子供の頃の記憶にほぼ近い「懐かしい風景」がそこに在った。それを取り囲むようにレストランが配置される。心憎い構成だ。もちろん、当日もおばさま達で満席である。

畑の周囲には、モデルとなった丹波の樹木や野草も移植され、さながら日本の原風景である里山が再現されている。建物も周囲より低く抑えられ、外観の素材感や質感がこれまでの派手さのある商業施設と一線を画すあたり、設計施工の鹿島建設、さすがである。
ちなみに昨年度の京都デザイン賞を受賞している。

ここにヒントを得て、現在当社で設計中の福祉施設の屋上に、同様の菜園を提案してみたところ、理事会の承認が得られた。建物の屋上のため、高度な設計が求められるが、畑土による高温化抑制などで、建物の負荷も軽減されるメリットがある。

農作業は簡単ではないが、入居の皆さんに、自然の成長の姿で癒されながら、収穫の喜びを味わっていただくことが出来れば幸いである。

建築家 可児義貴からメッセージ

ショールームでお客様からご質問いただく、「可児さんてどんな経歴?」から、「なぜ設計事務所が住宅建設を?」「職人集団『チーム・クウェスト』って?」「SE構法にしている理由は?」「これまでの建設実績は?」「ホテルのような家づくりとは?」「予算は?」まで、本音で語っています。