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メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語」
2002/2/12(できるだけ毎週火曜日発行)
第1章 土地を選ぶ
5.うまい土地の選び方(3)
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□ ご購読感謝
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みなさま、こんにちは。はじめまして。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。
このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸
を建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。
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■ 5.うまい土地の選び方(3)
住宅用地を探したことがある方なら、「建築条件付土地」という物件を見か
けたことがあるだろう。その名のとおり、土地を売る条件として建物の建築を
指定の業者に任せるというもの。土地売買後3カ月以内に建物の請負契約が成
立しない場合には土地の売買も無効になるという条項がつく。一見なるほどと
思うが、実際には土地の所有権を移転した時点で登録免許税や司法書士の手数
料等の諸経費がかり、無効にするのには、また同じ諸経費をかけて所有権をも
どさなくてはならない。
「建築条件付土地」を検討するのであれば、土地の契約後、所有権を移転す
るまでの間に建物の品質や仕様についても充分な納得をし、請負契約を結ぶこ
とを前提として、決済(土地の最終残金を払って名義を替える)することが必
要である。建物の話がまとまらないうちに土地の決済をせまる業者には要注意。
業者にとって「建築条件付土地」は、土地代金を早く回収でき、しかも建物
資金は客側から支払われるので、土地代プラス建物代を用意しなければならな
い建売住宅に比べ、資金的な負担が小さいという大きなメリットがある。建て
てしまって売れ残るというリスクも避けられる。業者とすれば、「建売り住宅」
程度の予算しかみておらず、客側は「注文住宅」の感覚なのだから両者の間に
軋轢が生まれるのも当然かもしれない。
ただ、設計の立場として言うなら、建物に客側の意向を少しでも反映したい
という思いはある。手間をかけてもお客に喜んでもらいたいという良心的な業
者も確かに居る。客側としても、もとは「建売り」ということを念頭において、
「注文」には別予算をみておくぐらいのお互いの譲歩があれば、土地は割安な
場合が多いから「大正解」となるかもしれない。これまでの完成済みの住宅を
実際に見せてもらったり、あるいはそこの住人に感想を聞くなどして最終判断
としたいものだ。
あのバブル期の末期、土地転がしを防ぐ意味で「短期」の土地の売買には、
その利益の9割もの税金が課された。土地では収益をあげられなくなった業者
は建物の工事で利益を上げようとした。今ではその税制は廃止され、土地の売
買でも収益が得られるようになっているので、交渉次第では「建築条件」をは
ずしてくれる場合もあるように聞いている。
さて、良さそうな物件が見つかると、仲介業者から「買付証明書」を書くよ
うに言われる。これは売主に「買いたい意思」を示すためのもの。この書類の
提出順が交渉の順番となるのだ。何人も購入希望者がいる場合、提出順で「1
番手」「2番手」とされ、同じ条件なら「一番手」が優先される。そう簡単に
書類にサインなぞしてよいものかと不安に思う方がいるが、契約行為ではない
ので、後でキャンセルしたとしても法的に何ら問題は残らない。まず、交渉権
を手にしよう。
「買付証明書」には購入希望金額やを記入する。具体的な金額は、仲介者と
よく相談して書き込むが、5%ほどを値引いた金額を提示してみるのも許され
る範囲かもしれない。業界ではこれを「指値」といい、珍しいことではないが、
購入希望者が複数現れた場合、「買値」の一番高い人が優先される。仮に「2
番手」の方が「1番手」より高い「買値」をつけたとしよう。「1番手」に、
その金額が打診され、金額がUPすれば交渉権は「1番手」、金額がそのまま
なら「2番手」に交渉権が移る。
実際、業として日々土地の売買に携わっているプロならいざ知らず、素人で
よい土地を安く入手するのはなかなか難しい。しかし、少しでもうまく土地を
購入する努力は絶対に惜しまないでほしい。良い土地を予算より若干でも安く
入手できれば、その分、後の建築工事費に余裕が生まれる。私の経験では、実
はこの努力が良い住宅作りの最大のポイントになる。
設計士や大工の棟梁などのよいスタッフに恵まれることはもとより、最終的
には適切な予算の確保が勝敗を握る。工事に関わった人達の全てが「良かった」
と思える住宅が、つまり適切な予算をかけられることが、将来のメンテナンス
の保証も受けられる良い住宅と言えるのではないだろうか。
最後に、「一体いくらの土地を購入したらよいのか」という疑問が残る。
住宅の取得にあたって、土地から手当てする人が一番迷う事項かもしれない。
諸条件が異なるため、一概にはいえないが、土地取得には土地代の1割弱の諸
経費がかかる。また、建物については、たいていの業者のいう坪単価には最低
限の仕様しか含まれていないと思った方がよい。人気の床暖房などの設備や造
り付け家具、外構などは別途予算として、建物価格の最低でも1割ぐらいは見
込んでおきたいものだ。工事費の消費税5%も忘れてはならない。
土地から購入する方の一番陥る失敗は、この「土地」に予算をかけすぎるこ
とだ。どうしても先だって買ってしまうので、ついついチョット無理をしてし
まうらしい。そして、「あんなにローンを支払って、こんな家にしか住めない」
となげくことになってしまう。くれぐれも「土地」に住むのではなく、「家」
に住むということをお忘れなく。
(つづく)
