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メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語」
2002/6/6(できるだけ毎週火曜日発行)
第4章 建築構法の選択
1.木造・鉄骨造・RC造
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みなさま、こんにちは。はじめまして。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。
このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸
を建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。
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■ 1.木造・鉄骨造・RC造
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間取りがほぼ固まってくると、次に建築の構法を何にするか考える。ここだ
けの話だが、住宅設計の分野で著名な建築家の中には、間取りを考える前に、
この構法を先に決定し、その後間取りを当て嵌めていくやり方をする人がいる。
住宅雑誌に掲載される優れた住宅を観察すると、その頻度は予想以上に多い。
つまり、うまい空間作りには、この建築を組み立てる構法が重要な位置を占め
るのだ。
住宅の規模の場合、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3種類が一般的で
ある。勿論、そのどれにも長所短所がある。中でも木造が最も一般的で、歴史
も古い。木材は強固な割には軽くて扱いやすい。しかも安価で加工も楽とくれ
ば一石二鳥で、広く普及しているのは当然のことといえる。反面、腐りやすく
燃えやすいなどの欠点を持つが、敢えて総合点をつければ、やはりダントツな
のではないだろうか。
ある優れた建築家がこんなことを書いていた。「木造は予算が無いと、どう
努力しても貧相なものしか出来ない。だから自分はS造やRC造で住宅を造る
事にした。」実は私も最近木造住宅の設計を数軒手掛けながら、この説に多少
共感を覚え始めている。首都圏のしかも都市部での木造建築は、防火地域の規
制や敷地の狭さで、本来の木造のあるべき姿を実現できない可愛そうな一面を
持っている。言ってしまえば、ただコストの安さのみで木造が採用され続けてい
るようにも私には見てとれる。たとえば売値の安さを競っている多くの建売住宅
がその代表例だ。
専門用語で我々がS造と呼ぶ鉄骨造は、ビルや工場のような大きな建造物に
採用される構法で、柱の無い広い室内空間が確保できるのが特徴だ。鉄骨のし
なりを利用して地震の衝撃を吸収できることから、超高層ビルの構法はこれに
なっている。住宅としての普及率はまだ低いようだが、柱の数が少なく、余計
な壁が不要となること、ガラスとの併用で開放的で軽い感じの空間が誕生する
ことから、最近若手の設計士にウケていて、頻繁に雑誌で見かける。やり尽く
された感のある木造に背を向けて、新しい挑戦を試みようとするのは新進気鋭
の設計士にとっては自然の成り行きだろう。この私もあと20歳若かったら、き
っとその中のひとりだったにちがいない。
やはり専門用語で我々がRC造と呼ぶ鉄筋コンクリート造は、なんと言って
もあの圧倒的な重量感と堅牢さが魅力的だ。日本の風土に適合するかの議論は
さておき、一億円を超える高級住宅ともなると、決まってこの構法が使われる。
しかし、住宅にこのRC造を採用する場合には、十分な注意が必要である。良
いことばかりでもないのだ。
まず本体が重いため、おのずと基礎が大きくなり、固い地盤まで到達する杭
が必要となる場合があるなど、見えない部分にコストがかかること。外部と完
璧に遮断されるため、空気の自然な流れが止まって、住まいにとって大敵な湿
気がこもりやすいこと、さらに結露の問題など、経験のある専門家の協力が不
可欠だ。
ところで、私の学友の中に、四国の高知県で良質な住宅を生み出している男
がいる。最初彼は、東京でビルの設計に従事していたが、都会の生活が姓に合
わないのか突然生まれ故郷の高知に戻ってしまった。当然ビルの仕事は少なく、
住宅の設計が増えていった。試行錯誤の結果、彼は地元の建築材料を使い、地
元の腕のいい職人を集めて造る「土佐派の家」と称する、この地方の過酷な気
候風土にマツチした素朴で風格のある住宅のスタイルを確立した。
勿論構法は木造。想像をはるかに越える豪雨や酷暑に耐えるため、広く軒を
出し、土佐漆喰の白さが際立つ堂々とした外観は、伝統的な木組みの力強さと
相まって見る者を圧倒させる力がある。
(つづく)
