
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語」
2002/7/2(できるだけ毎週火曜日発行)
第4章 建築構法の選択
2.SE工法とは
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□
□ ご購読感謝
□
みなさま、こんにちは。はじめまして。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。
このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸
を建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。
■
■ 2.SE工法とは
■
私の郷里は岐阜県の美濃地方にある。戦国時代に斎藤道三や織田信長が活躍
した所だ。付近には古戦場も多い。一般的には、愛知県の名古屋市に近い所と
言えば分かりやすいだろうか。私の実家はその美濃地方でも東部に位置する可
児市にある。可児市の可児さんだから、仕事の関係者から「いわゆる地方の名
門の出ですか。」と聞かれることもあるが、あえて否定しないことにしている。
さて、このあたりは、東濃地方とも呼ばれ、良質のヒノキを産することで、
木材を扱う専門家には多少知られているようだ。数年前のこと。お盆休みを利
用しての帰郷の折、私と妻はかの有名な東濃ヒノキを拝見するため、街道沿い
の、とある材木店に立ち寄ることにした。
街道に沿って、間口が100メートルはゆうにあり、材木市場と見まごうよ
うな規模だった。さすがに女連れの見学者には、店の関係者の誰も声を掛けて
こない。じっくり観察することにした。
普段、机上の作業の多い私だが、大学を出て最初の就職先で木造建築をみっ
ちり経験したこともあり、どれがヒノキか判別はつく。一方、妻もちょうど自
宅を新築する話が現実味を帯びてきて、建築に興味を持ち始めた頃だった。
この時ばかりは建築家として、夫の威厳を示すチャンスだ。知っている限り
の知識を披露する。だが、妻は木の種類や使い道より、その値段にため息をつ
いている。製材したばかりの木材は、どれも芳香を放ち、独特の世界がここに
はある。板になる前の巨大な木材が、どっしり横たわる姿は、それだけで迫力
があり絵になる。いつまでいても飽きない二人だった。
次に、この会社の本社に立ち寄ってみた。ちょうど帰り道だったし、いつか
建築の集成材では日本でも屈指の会社と聞いていたからだ。今度は正々堂々と
受付に「東京の設計事務所」の名刺を差し出し、技術者に面会を申し込んだ。
やがて3名の技術者が現われ、突然この地方独特の「みゃあ、みゃあ」言葉
が飛び出した。私も負けじと「みゃあ、みゃあ」言葉で応戦することにした。
実にこの言葉を使うのは30年ぶりだ。すると、さすが、そこは地元の出身者
同士。会った瞬間から打ち解けムード。田舎はこれだからいい。
最近地方の公共建築で木造のブームが起きている。その一翼を担うのが、こ
の会社の得意とする集成材だ。無垢の材木の欠点でもある反りや縮みを抑え、
しかも太く、長い材料を作ることが出来る。これまでは鉄骨造としたものを集
成材で代用できることになった。そして、この木の持つ自然の優しさや暖かさ
が、子供や老人のための施設には好評なのだという。
「体育館や学校などの実績はよう理解したけどネェ。ところでこの技法を住
宅レベルに応用できへんかネ?。」私の質問に「ちょうどそれを開発したばっ
かやで。今年の内にも行政の認可が下りる予定やもんでネェ。まあ、いっぺん
使ってみてちょうでゃすか。」笑みを浮かべて技術部長の伊藤さんは答えた。
これが「SE構法」との出会いであった。
(つづく)
