SE工法とは(2) - 建築構法の選択 - SE工法、重量木骨、注文住宅なら一級建築士事務所 QUEST クウェスト

建築家の自邸、満足と反省の物語

SE工法とは(2)

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  メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語」

  2002/7/11(できるだけ毎週火曜日発行)

  第4章 建築構法の選択

   2.SE工法とは(2)

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□ ご購読感謝

みなさま、こんにちは。はじめまして。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。

このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸
を建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。



■ 2.SE工法とは(2)


 「SE構法」のSEが何の略か、実は今でも知らない。あれから5年以上経
って、この構法を商品化して全国的にも知名度が出てきた㈱エヌ・シー・エヌ
という会社の担当者から、何の略なのか幾度も聞いたことがあるが未だに覚え
られないでいる。

 歳のせいかもしれないが、最近の情報過多の時勢に余分なことは覚えない主
義が身についてきたのかもしれない。専門用語ではなく、きっとこの会社の誰
かがゴロ合わせで考えついたネーミングなのだろうから、ただブランド名とし
て覚えておけば許されるだろう。

 SE構法では、柱も梁も土台もすべて集成材だ。集成材とは、無垢の材をい
ったん片手で簡単に持てる程度に切断し、再度ランダムに接着剤で張り合わせ
たもの。接着材の信頼性と、経年変化のデータ不足が懸念材料として残るが、
良質の材木が極端に少なくなってきた今日、価格的にはむしろ無垢の材を上回
ってきている。集成材は、実験的にどの材も同じ強度を示すことから、癖のあ
る無垢の材木と比べ、構造計算の値がより信頼度を増してくる。

 最初、半信半疑だった私が、この構法について、まだ商品説明もシドロモド
ロだった担当の後藤氏から、あらゆる資料を取り寄せて検討を重ねたのには、
二つの理由があった。一つは、建築家としていつまでも熟練の大工の勘に頼っ
て在来工法で施工をしているのは自分でも許せない気持ちがあったこと。もう
一つは、故郷の産業の振興に微力ながら貢献したいと思ったことだ。

 SE構法の場合、材と材を結ぶ仕口は独自な加工と金物により、工業製品の
精度で緊結される。そして、実際に組まれた骨組みを見ると、むしろ鉄骨造に
近い感じを受ける。構造計算の都合上も手伝って、水平方向の材、つまり梁の
太さがこれまで見慣れた在来工法のそれより一段と大きくなり、明らかに頑丈
そうで骨組みだけ見ても立派である。

 そのほかにも、有利な点はいくつかあるが、特筆すべきは、斜めの補強材、
つまり筋かいが不要なこと。従って、在来工法につきものの、耐力壁が少なく
てすみ、広い開口部が可能になった。この点でも、鉄骨造によく似ているとい
える。

 こう見てくると、確かに新進気鋭の建築家には、すぐにも飛びつきたい魅力
が詰まっている。どちらかと言えば、保守的な部類に属する私でも、いつかは
採用してみたいと思いだしていた。こんな時、決まって神様はイタズラをする。
なんと、このSE構法の実験をするチャンスが早々に到来したのだ。

 ちょうどその頃、私が設計施工で建てた住宅の内覧会があった。そこに参加
されたひとりの奥様と会話がすすんだ。普段は人見知りで、営業の話などまっ
たく苦手な私が雄弁になっていた。彼女の美貌も手伝って、話はどんどん盛り
上がる。とかく建築家という人種は「美しいもの」に弱い。

 数ヵ月後に適当な敷地が見つかり、設計の依頼があった。いわゆる豪邸に住
む知人も多いこのご夫婦、よく目が肥えていた。と言うより、よく物事が見え
ている様子。資金的にも多少余裕があるようだったが、ただ大理石を貼ったよ
うなキンピカの住まいは最初から否定された。贅を尽くさぬとも、必要最小限
のものはきちんと備わった「玄人はだしの家」を求められたのだ。まったく同
感で久々に意欲が湧いた。さらに追い討ちを掛けて、うれしい言葉が続く。

 ご主人曰く、「希望の条件はこれだけです。後はすべてお任せします。」
な、なんと設計者にとって、これ以上の殺し文句があるのだろうか。設計を依
頼するすべを知り尽くした御仁だ。一本どころか三本は取られた感じだった。
間取りを考えながら、まず構法をどうするか迷った。「木造はなんとなく頼り
ない。」とのご主人の思いを奥さんから聞いた。木造がダメならRC造となる
が、二階建てなのに、基礎から大げさになるコンクリート住宅も考えものだ。
「お任せ」といわれると、そう簡単に答えは出せないのだ。

 設計を開始する場合、いつもそうしているのだが、敷地の前にじっと立って
完成した建物の有様を頭の中で幾つもイメージしてみる。一時間もして足が疲
れてきて、道端によっこいしょと腰を下ろす頃、光の入り具合や、風の道がは
っきり見えてくる。車の騒音や小鳥のさえずりも確認事項に入っている。その
うち、周囲の建物の窓の位置も頭に入り、開く方向と閉じる場所も自然と見え
てくるものだ。

 さて、構法はどうするか。左隣にはコンクリート打ち放し仕上げの医院が建
っているが、北側のためか壁面は少々薄汚れている。右手には近いうちに安価
な建売住宅が建つらしい。間に挟まれて、何か凛とした姿に仕上げたいものだ。

 ちょっと待てよ。このあいだのSE構法はどうか。多少とも大胆な構造で見
せ場を造りながら、しっとりとした木造の良さも表現できる。何より後に控え
る自邸の試験台にもなる。一石二鳥ではないか。

 幸い、Sさんご夫妻は「任せたのだから」と訳の分からないまま承諾をして
くれた。多謝。

(つづく)

 
 
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