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メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語 NO.44」
2004/5/2(不定期発行)
第7章 内装
1.内装制限の中で(3)
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□ ご購読感謝
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みなさま、こんにちは。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。
瞬発力には自信がある私も、持続力といわれればついうなだれてしまいます。
またまた、とぎれたメルマガですが、このゴールデンウィーク中は、売れっ子
作家になったつもりで、事務所に缶詰になり、たまりにたまった原稿(そこそ
こ書き溜めてはいるんです)を発行したいと思います。
このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸を
建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。
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■ 内装制限の中で(3)
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スウィートルームといえば、お金持ちか芸能人が利用するものと相場が決ま
っているが、最近では結婚式などで記念に泊まってみるとか、誕生パーティー
などを兼ねてOLが数人で利用するケースも多いと聞いている。二部屋続きの
ため、その分床面積も広く、当然ながら宿泊料金も高い。しかし、このごろは
それに比例して、天井高が高くなってきている傾向にある。著名なホテルが軒
並み外国人にインテリアデザインを依頼する風潮にあり、その影響で欧米並み
の天井高を要求される場合が多いようだ。
確かに我々日本人の多くが、住宅の天井高として一般的に馴染んでいるとこ
ろの八尺、つまり2メートル40センチは、欧米人の感覚からするとかなり低い
ようだ。いつも床に座って生活する我々は気にならないのだが、椅子の生活の
彼らからすると、頭を押さえつけられる感じがするらしい。ところがこの天井
高は、それをほんの少し、例えば30センチほど高くしてやると、単に圧迫感か
ら逃れられるだけでなく、頭上に空気感を感じるほどに開放感が増し、高級感
すら漂ってくるから不思議だ。
我々日本人も床に直に座る生活習慣から、椅子の生活に移行しようとしてい
る今日、ちょうど目線の差が30センチあるのだから、日本でも天井高の見直し
があっても良い頃かもしれない。ともあれ、壁紙であれこれ悩んだり、下手な
装飾を施すよりは、天井高を少し上げてやるほうが、ずっと洒落た室内空間に
なることを、私はホテルの仕事から体得したのだった。
では、具体的に天井を高くするにはどうしたらよいのか。木造建築の場合、
使用する柱は一般的に十尺、つまり3メートルに規格化されている。これに横
方向に架けられた梁が取り付いてくることから、天井を貼った場合には最大で
も天井高は2メートル60センチ程度となる。これでもきっと「高い。」と感じ
るはずだ。大胆な建築家は、天井を張るのを止めて、2階の床板がそのまま1
階の天井になるような設計をすることがあるが、面白い試みだと思う。多少手
間が掛かるのだが。
ところで、住宅の中で特に天井を高くしたいと思う場所は、家族の皆が集ま
る居間や食堂ではないか。とすれば、とくに都心の密集地で、一階に直射日光
が入らない敷地では、思い切って二階に居間や食堂を持ってくる手法が考えら
れる。三階建てならば最上階に持って来ることになる。「昇り降りが大変。」
という反論もあろうが、光が燦燦と降り注ぎ、風通しも良い最上階の空間は、
個室にしておくには少々もったいないと常々私は思っている。天井の上が屋根
ならば、天窓という手もある。天窓は、壁に取り付けた通常の窓の3倍の明る
さを得られるとされている。私の体験では、明るさもさることながら、夏の間
の風通しが抜群である。つまり、クーラーの代用となるのだ。
2階を居間や食堂に決めた場合、天井裏(専門的には小屋裏と言う)を取り
込むことが可能となる。天井は平らである必要はない。ごく一般の住宅でも、
リフォームの際、平らな天井を剥がして小屋裏を部屋の中に取り入れることで、
驚くほどの開放感を持った空間が出現する。高いところでは、4メートル近い
天井となる。そこに大きな白いプロペラファンがゆったり回転するというのも
よいではないか。小屋裏は夏の間、屋根から伝わる熱気を下の部屋に伝えない
重要な役目があるが、最近では優れた断熱材も開発されているのでそれほど心
配はない。
ただし、「天井が高いといくら暖房をしても、暖められた空気が上部に溜ま
って、寒くて仕方がない。」とクレームが来ることが予想される。この場合、
これも私の経験からだが、床暖房を薦めたい。これを設置して、天井を高くし
た住宅でこの種のクレームを受けたことは皆無だからだ。ともあれ、高い天井
と床暖房のセットで、ワンランク上の快適生活が得られるのはどうも確からし
い。
以上のことから私の自邸では、食堂と居間、さらに寝室と子供室まで、可能
な限り天井高を高くすることに決めた。ちなみに、一番重きをおいた食堂と居
間の天井高は、柱を継ぎ足して通常より60センチ高い3メートル20センチとな
った。これ以上は法的制限も手伝って無理なのだが、それでも完成後に我が家
を訪れる客人の最大の感心事は、この天井が高いことにある。
この感想が「とても素敵ですね。」とくるからたまらない。そして、この高
さになると、天井の仕上げ材料はさ程気にならなくなる。私は外人デザイナー
が当然のごとく指定する、白いペンキ仕上げとした。しかし、これが自分でも
不思議なくらい高級な仕上げに見えてくるから笑える。天井高のおかげである。
「皆さん、これからの住宅作りのポイントは天井高ですぞ。」私は、声を大に
して言いたい。また、寝室と子供部屋は単に屋根なりに斜め天井にしただけだ
が、片方の天井が高いだけで、それなりに存在感のある部屋になっている。
これはどの家でも可能なので、是非試して欲しい。
(つづく)
