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個性的なコンクリート打ち放し仕上げ

専門用語でRC造と呼ばれる鉄筋コンクリート造は、何と言っても、あの圧倒的な重量感と堅牢さが魅力だ。代表格のコンクリート打ち放しの四角い箱は、個性を強調したい見栄っ張りのお施主さんにとっては、最適な表現方法となっている。日本の風土に適合するかの議論はさておき、一億円を超える高級住宅ともなると、決まってこのスタイルが使われる。

数年前、中目黒の15坪の土地に、某会社の事務所を増築したことがある。同じころ、すぐ近くに五倍ほどの巨大なコンクリートの箱が出現した。後で聞くと、タレントの木村拓三の自宅だという。何はともあれ、男一匹大したもの。敬意を表したい。

住宅にこのRC造を採用する場合には、十分な注意が必要となる。良いことばかりでもないのだ。

まず建物本体が重いため、おのずとそれを支える基礎も大きくなり、その二重の重さで地盤沈下が起こる確率が増す。そこで固い地盤まで到達する杭工事が必要となることが多く、見えない部分にコストがかかる。

また、分厚い壁で外部と完璧に遮断されるため、空気の自然な流れが止まって、住まいにとって大敵な湿気が逃げ場を失う。そこで湿気との戦いが始まる。漏水があっても、その場所の特定ができにくいなど、建てた後も何かと面倒が起りやすいことから、経験のある設計者と施工者の協力が不可欠となる。

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