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順調に工事が進むはずが

SE構法も全ての梁と柱が組み合って骨組みが出来てしまえば、後の作業は従来の木造住宅とそれほど変わらない。その後の工事は順調に進むかに思われた。がその矢先、やはり問題が発生。大工達が作業中に気付いたのだが、二階を歩く音が建物全体に伝わるのだ。ボオン、ボオンと床全体が響く。原因を探ると二階の床を支える梁の振動が大きいことが分かった。

この構法の大きな特徴のひとつに、在来工法の木造に比べて、柱の少ない大きな部屋が実現できることがある。構造計算に裏づけされた太さの梁を使用することで、関口邸も階上に二十畳を超えるリビングダイニングが広がっていた。要はこの大空間を支える太い梁がしなっていたのだ。

構造計算上では強度的に何の問題も無いのだが、この梁のしなりが振動となって、完成後の日々の中で不快感としてクレームになることは容易に想像できる。思わぬところから、理論的に構築した新構法の弱点が現れる結果となった。

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