家づくりレポート:千歳烏山の家 - SE構法、重量木骨、注文住宅なら一級建築士事務所 QUEST クウェスト

家づくりレポート:千歳烏山の家

01. クウェストとの出会いは建築雑誌から

依頼主のKさんに伺ったところ「クウェストを見つけたのは建築雑誌」だったそうです。
「自宅を公開していることも安心感につながった。」とのこと。数ある雑誌の中でクウェストの作品が目に留まったご縁を大切にしたい。

Kさんの家づくりは土地探しから始まった。実家に近い沿線を中心に、大手の不動産会社に依頼して多くの土地を見て廻ったが、なかなか予算に合う土地は見つからない。

02. やっと駅に近い手頃の土地が見つかった。

出会いから約一年が経過したある日、クウェストに良い土地情報が来た。Kさんの探している地域で、しかも予算に近い。これまで複数の土地を見ているKさんは、ほぼ地域の相場も見えていて決断は早かった。もし、Kさんが辞退していたら、クウェストで取得して分譲住宅を企画したい魅力的な場所だった。信念を持って探し続けると、必ず願いが叶う。

03. 夫婦の好みが一致するとは限らない。

住宅の基本構想を練る時は、最大限の要望を聞くことにしている。とにかく何でも施主が考えつく範囲の希望を全部聞く。もちろんその全ては実現できないが、施主の好みや価値観を尊重して、規格住宅にはない個性的な空間を実現させてあげたい。

さらに、建築雑誌を何冊か購入してもらい、気に入った写真を手当たり次第にスクラップ帖に貼ってもらう。これにより、Kさん夫婦のイメージする住宅が実によく伝わってくる。ご主人は素材にこだわり、一風変ったモノ好き。奥様は収納と掃除のしやすさに観点がいく。相いれない方向に戸惑うことも度々。でもこの綱引きが一番大切。永く暮らす家だから。

04. 簡単な模型とラフスケッチ

要望を聞いた上で、数種類の基本案を提示し、迷ってもらう。建築士としてのベスト案はたった一つだが、住まい手に参加してもらった方が個性的なプランができる可能性が広がる。簡単な模型を作るとKさんは素直に喜んでくれた。立体的に見ると理解しやすいようだ。約2週間ごとに打ち合わせを重ね、だんだん形になってくる。

敷地に庭を造る余裕がないので、せめてもの夢の実現として、「屋上ビアガーデン」を作ることになった。居間から空に向かって登っていく階段。面白そうだ。

05. 上棟時が一番の難所

年末に近いころ、棟上げの作業が行われた。SE構法では柱が直接コンクリートの基礎に取り付くため、どの仕事にも高い精度が要求される。クウェストでは、講習を何度も受け、熟練者として認定された職人だけがこの作業に携わっている。

許される現場の誤差はたったの2ミリ。これを超えると、コンピュータ制御された材木と特殊な連結金物は、その後の組み立てが不可能となる。「何回やっても緊張する。」と棟梁は汗を拭った。

06. 上棟式で実感が湧いてくる。

上棟式には実家の両親とお兄さん夫婦がやって来た。男組は整備された足場を伝って屋上まで登ってみる。富士山こそ見えないが、遠くまで眺望が開けていた。
「ここが屋上ビアガーデンの場所で」Kさんの説明に熱が帯びる。近く生まれてくる子供にとっては、絶好の遊び場となるだろう。

地上三階建のため、敷地の広さに比べ、見上げる高さに迫力がある。「材料の太さに安心感があるよね。」お兄さんの言葉に、Kさんはやっと家をつくる実感が湧いてきた。

07. ショールームを回る。

日に日に新しい設備機器が登場する。お風呂やキッチンなど、本当に工事契約時の機種でいいのか、Kさんと一緒に再度ショールームを廻ることになった。情報はあふれているので、時々はショールーム巡りを続けてもらっていたが、なかなか夫婦だけで決断するのは勇気がいるもの。

「可児さんと一緒だと安心です。」とうれしい一言。
こちらは、他の商品との比較や20年近く続けているメンテナンスの経験をアドヴァイスするだけなのだが、迷った時の決め手になったようだ。

08.階段が出来た。

上棟の後には、急いで屋根を作る。雨の多い国に適した工法である。屋根の次には窓と外壁を取り付け、とにかく雨の侵入を防ぐ。乾いた気候の米国西海岸あたりで主流の2×4工法では、最後に屋根を乗せるため、我が国の場合、工事途中に木材が何度も雨に濡れてしまう。私が2×4工法を好きになれない所以である。

上棟から1カ月経過して、やっと階段が出来たので、施主のKさん夫妻を現場に呼んだ。

奥さんは初めての現場視察となる。「感動です。」の一言

10年前に自邸を建てた私には、この頃の施主の気持ちがよくわかる。
「とにかく、嬉しい。」のだ。

09.吹き抜け空間の施工

この住宅の一番の特徴は天井が高いこと。一番の高所では4メートルを超えている。

斜め天井のため、大工は足場を工夫して天井の仕事を始めている。

三階であることに加え、床暖房の採用と日差しを取り込む設計がなされているため、真冬の工事でも室内は比較的暖かい。

夏の暑さ対策としては、屋根を外断熱として、なんと100ミリのスタイロフォームを合板で挟んだサンドイッチパネルを採用し、通気工法を併用している。

10.無垢の板を重ねた手造りの玄関ドア

直射日光が当たらない利点を生かして、玄関ドアはムクの厚い板をつなぎ合せた特注の引き戸を提案してみた。Kさんの了解を得たので、工場で実際の材料を仮置きして製作の準備に入る。

材は堅くて床材としても最高級のピーカン材。さまざまな木肌の表情が面白い。

引き戸にした理由は、車庫を兼ねた玄関なので、安全を考慮した結果です。

11.電気工事が始まる。

木工事が半分ほど進んで、天井や壁の下地が出来たので、電気や給排水の工事が加わった。クウェストでも現場監理が忙しくなる頃で、ほぼ毎日、担当の設計士が現場に出向いている。「あと1センチ下。」「あと3センチ右。」職人に細かい指示を出す。

図面に書いてあっても、実際に現場では、施工が無理になる場合もあるし、変更することでより使いやすくなることもある。現場主義のクウェストでは、法に触れない範囲では、変更の手間を恐れない。すべては、住まい手のためになるからだ。

12.施主の視察

出版関係のお仕事で超多忙な施主のKさん、それでも毎週土曜日に時間を作って現場に来てもらう。毎回飲みきれないほどの飲み物を買ってきてくれる。お茶代は、上棟式に一括でいただいているので不要なのだが。

「あれがペントハウスか。」Kさんの期待はどんどん膨らむ。屋上へ出られる階段が設置される日が待ち遠しい。こちらは、任せてくれる分、手が抜けない。

13.足場が取れた。

着工して約三ヵ月、やっと足場が取れた。現在、隣が空き地のため全景が望めるが、隣地にも新築が予定されているので、数ヵ月後には側面の外観は隠れてしまう。

将来のメンテナンスが簡易になるよう考慮して、隠れてしまう東側の外観はシンプルな形状としている。これから一階の足元の工事が始まる。今回もここまで無事故で一安心。

14.ファサード

正面のよく見える外観をファサードと言う。建物はもちろん全体が美しくなければならないが、我々人間も同じで、とりわけ顔つまりファサードはとても大事だ。

今回の住宅では、敷地と道路の関係で、ほとんど凹凸がつけられず、平面的な印象が否めないが、その分、余計な飾りを排除して、シンプルでクールな印象を心がけた。

レンガタイル風のサイディングにアルミの特注パネル(なんと長さ6メートル)の組み合わせで、重厚さとモダンを表現した。

中心の回転窓は、消防隊の非常用侵入口を兼ねている。

15.システムキッチンの組み立てが始まる。

キッチンのパーツが納入された。今回のメーカーはトーヨーキッチン。

施主が天板をステンレスと決めたことで、このメーカーを推薦した。もともとステンレスの加工が得意で、各メーカーがこぞって天板には人工大理石を採用している中、かたくなにステンレスにこだわっている姿勢が評価できる。天板の奥行きが75センチと深いのも特徴的だ。

ところで、発注の仕方で価格を大きく抑えられることは意外と知られていない。今回もこのウルトラCを使っている。まずメーカー推奨のパッケージ商品を購入しておいて、特殊なパーツを別に発注し合体させることで、価格を抑えることに成功した。

16.完成直前の入念チェック

竣工を一週間後に控え、待ちきれない施主が最終チェックのために現場を訪れた。この頃になると日に日に仕上げ工事が進行し、家らしくなっていく。施主にとっては図面で何度も確認していても、実際のものを見て、初めて理解できることもたくさんある。

自分たちで選んだキッチンやユニットバスだが、現物を見て、その迫力に感嘆の声が出る。

夫婦で喜びを噛みしめつつ、新居での生活に夢を馳せる。至極のひと時である。

17.やっと屋上へ行ける。

ペントハウスに至る階段が取り付いた。ご主人のもっとも楽しみにしている場所だ。

名付けて、「屋上ビアホール」。間もなく生れてくる子供のプールもここに置かれる。


職人が最後の仕事として、ペントハウスの床を仕上げる。竣工日があと3日後に迫った。

18.大胆な表札

クウェストの可児が秘かに隠し持っている銘木の木片。その中の一枚を利用して表札を作ることになった。ご主人の「変ったもの好き」にこたえたものだ。

今回は欅の根っこの部分。玉杢と呼ばれる美しい模様が特徴的。

ご夫婦で競った結果、今回は奥様が書いた文字が採用となり、この木片に刻まれた。刻んだのは、もちろん可児。実に多才である。

19.世界でたった一つの玄関ドア

この白い空間に象徴的に存在するオリジナルドア。一番奥まったところに位置し、直射日光が当たらないので、無垢の木を重ねて建具職人が腕をふるってくれた。

材質は、米国のピーカンと呼ばれる最高級の床材。きっと時を経るごとに味わいを増すことだろう。これをサンドイッチに貼り合わせてドア厚はなんと50ミリ、重さが100キロになった。

開いたときに、車に当たらないために、引き戸の方式として、ドアは天井から特殊な金具で吊っている。

20.問題勃発

竣工の前々日、4月にしては記録的な雪が降った。現場では最後のタイル工事が始まっていた。これが貼り終われば完成である。その時、玄関に至る土間の傾斜がやや急こう配であることに気付いた。「今日のように、雪が降って、生れてくる子供が万一滑って転倒でもしたら。」そう直感して寒気が走った。設計がやや甘かったか。

施工中の職人も含め、関係者全員で協議した結果、引き渡し前に修正することを決断した。転ばぬ先の杖である。

いったん貼ったタイルを全て撤去して、下地の土間コンクリートをハツリ機で砕く工事を強行した。想像以上の騒音を伴った。近隣の皆さんには多大なご迷惑をおかけすることになり深くお詫びしたい。

21.引越し

タイル工事が完了しないまま引っ越しが始まった。以前から予定されていたので、突然の変更は難しい。室内は完成しているので、作業には特に問題はなかったようだ。

新築を機にKさん夫婦は、居間や食堂の家具を新調した。クウェストの提案で、全てワンランク大きな家具を発注したのだが、またもや問題が勃発。階段からの搬入が困難で係員が引き揚げてしまう。

しかし、ここで諦めてはいけない。後日、クウェストの職人たちが駆けつけ、ロープで三階まで引き上げた。(間に合わなかった工事のお詫びも兼ねて)

ご主人のたっての希望で、バリ島のリゾート風に統一された家具が見事に調和する。チークの床に白い壁、天井が高く、室内からは空が見える。しかも、天井でプロペラが回転するのだから、これ以上のリゾート空間は得られない。

22.赤い車がよく似合う

無事、引越しが終了しても、自家用車は当分ガレージには駐車できない。しばらくは近くのコインパーキングに終日駐車してもらうことで無理やり納得していただいた。

一週間後、Kさんの愛車もやっと居場所を得た。ちょうど雨の当たらない室内ガレージのエリアに気持ち良く納まっているのを見て一安心。

想像以上に間口に余裕があり、「納車が楽だよね。」とKさんが嬉しそうに言った。

肩の荷が下りた瞬間だった。

23.植樹でほぼ完成。

タイルが完全に乾いた時点で、設計士自ら植樹をした。これまで何度も挑戦しているので、腕前はプロ級。肥料もしっかり入れている。義兄のお子さんが手伝ってくれる。

樹種は宮崎県出身のシマトネリコ。一年中、緑の葉っぱを保ち、比較的強いこともあって、最近、観葉植物としても人気が増し、赤丸上昇中。3年後には、二階まで成長するはずだ。

一般的に堅い建物の前面に樹木が絡むと、実にいい風情に映る。この効果は昔から言われていて、「門かぶりの松」なども一例である。

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