東京ガスの床暖房に軍配

「先生、確かに床暖房は快適ですよ」
以前に注文住宅を依頼された施主さんから聞いていたこともあり、自邸でも床暖房の採用は設計の最初から決めていた。ある日、その英子君に最近話題の床暖房を調査してくれるよう頼んでおいた。もちろん、自らの関心事でもあるので、彼女の動きは素早かった。

「床暖の面積が多い場合は、やっぱりガスが良さそうよ。設置費は少し高いけど、燃費がよく、毎月のコストが電気よりずいぶん安いみたい」
最初は、東京ガスの営業マンかと疑った。
「床暖パネル自体は枚数が増えても意外と安い。ガスの場合、お風呂や台所の給湯機と兼ねて、熱源機は一台でよく、その能力を少しアップするだけで経済的なのよ」

住居部分に限らず、事務所の応接室と作業場にも床暖を施工しようと考えていた私は、彼女の明快な理論に少しずつ傾いた。おりしもテレビでは東京ガスの床暖房のCMが流されていた。
「やっぱりガスですね」
あの田村正和の鼻に抜ける甘い声は、中年の女性ならずとも、中年のおじさんの心をも溶かす効果があり、駄目押しだった。

それにしても、これまで設計した住宅の中には、給湯器の異常や水漏れなどが意外と多かった。引渡し後も、全てのお客さんと懇意にしていることもあって、不具合は直接私に連絡がある。その度に施工した工事会社に出動を要請するのだが、この対応が意外と遅いことがある。しばらく仕事上での接触が無い工事会社ともなれば、職人の都合を理由に、なかなか修理に出向いてくれず困り果てることもしばしば。

住宅の設計の仕事を始めた頃は、とにかく小さなクレームにも思い悩んだ。すぐに対応できれば何の問題もないのだが、時間が空くと、この私が怠慢なような印象を与えてしまう。現在の私の薄毛の原因は、あながち遺伝だけでも無さそうだ。

それでも真面目に働く者を神は見捨てない。給湯器を直接東京ガスから購入することになって、かなり楽になった。さすがに大手。こうした故障にも24時間体制で対応してくれるのだ。このことも、都市ガスを熱源とする床暖房に決定した大きな理由だった。ただし、価格的には一般のメーカーのそれと比較して相当割高なのは否めない。大手の安心料と言えなくもないが、本音を言えば、手放しでお勧めするわけにはいかないかな。

建築家 可児義貴からメッセージ

ショールームでお客様からご質問いただく、「可児さんてどんな経歴?」から、「なぜ設計事務所が住宅建設を?」「職人集団『チーム・クウェスト』って?」「SE構法にしている理由は?」「これまでの建設実績は?」「ホテルのような家づくりとは?」「予算は?」まで、本音で語っています。