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知ったらおしまい。床暖房の効果

もちろん、床暖房の効果は言うに及ばない。自邸の間取りは、今日では一般的なLDKスタイルで、居間、食堂、キッチンが空間的に一つに繋がっていて、まったく間仕切りがない。合計すると30帖近くなる広さだが、この床暖房のお陰なのだろう、真冬でも場所によってヒヤリとする寒さを感じない。ただし、真冬の暖房は、この床暖だけでは不十分で、ガスのファンヒーターが、一台置かれている。それでも、この一台で十分なのだから、床暖の効果は大きい。

「なぜかチョット寒くない?」
家族の誰かが気づく時は、決まって床暖のスイッチを忘れている。あるいは、階段に続くこの広い空間への入り口のドアが、わずかに開いているかのどちらかである。

一戸建ての住宅の場合、経験から察するに、外断熱工法の有無に関わらず、マンションなどの共同住宅よりは、年間を通して、寒暖の差が大きい。よく言えば、季節の変化を楽しめる訳だが、真夏の暑さや真冬の寒さは、やはり厳しい。最初に社宅やマンションに住んで、一戸建てに移転した場合、引越し後に「先生、戸建てはやっぱり寒いですね」との連絡が入る。決まって口調は、やや冷ややかだ。

特に、一階を居間や台所にしているお宅では、朝方、二階の寝室から階下に降りる時にはゾクっとするらしい。この私も、三階で寝起きして、朝に「今日もイイ天気だ」と張り切って出勤すると(たった十四段の階段を下るだけだが)二階の事務所は別世界のごとく冷え冷えとしている。すかさず、ファンヒーターと床暖のスイッチを入れるのだが、メールのチェックや電話連絡が続く三十分間はブルブル震えている有様だ。反対に、真夏には階下の空間は暑さが和らぎ、凌ぎやすい場となるのだが。

追伸。このメルマガを読んで妻が言った。
「いやだぁ、早く言えばいいのに」
今日から床暖のタイマーがセットされることになった。明日からは、出勤の一時間前に床暖のスイッチが自動で作動し、私の到着時刻には「ほんのり暖かい」状態が保たれているらしい。この数年間の身震いは何だったのだろうか。

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