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やっぱり借地への融資は無理なのか

自宅に戻った私達は、一度深呼吸をした。急いでは事をし損じる。再度資料を整えて、最近取引が始まったばかりの八幡銀行に出かけた。そして、今度は直接、支店長に面会を申し入れることにした。

八幡銀行は数年前に信用金庫から第二地銀に昇格した地元密着型の銀行で、担当者の対応も心持ち丁寧だった。ただ取引が浅かったので新しい住宅ローンの打診はしていなかった。と言うより住田銀行に断られるとは夢にも思っていなかったからだ。 何にもまして、「実績」を積んでいたのだから。

愛想がよく、気さくな支店長は即座に答えた。
「応援してあげたいのはヤマヤマだが、やはり借地なのが問題。ついこの間、本部から借地権に融資しないようにお達しが来たばかりなんだ。だって担保に取りたい土地が他人名義だもの」

借地権の問題のひとつがここで露呈した。いよいよ打つ手が無い。さすがに、私達の落胆ぶりを察して、帰り際、支店長が続けた。
「借地権でも、新しく建物が建ってしまえば融資は可能かもね」

またこうも付け加えてくれた。
「ローンは申し訳ないが、事業の方で応援するよ」

うれしいような悲しいような。トホホ

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