小錦二人分のお風呂、床が抜けないのか?
浴槽を固定するためと、タイル貼りの下地を作ること、さらに洗い場の床を仕上げるために、今後相当量のモルタルを使う。そもそもタイル職人の藤成さんの経験によれば、本来、お風呂は一階の土間の上に作られる。二階の場合には、ほとんどユニットバスになるので、出番はないらしい。それが今回は何と木造の三階である。彼は、浴槽自体の重さに驚いて心配になった。
「先生、これだけ浴槽が重くては、水が入ったら床が抜けやしませんか。これにモルタルと壁と床のタイルの重さが加わるわけでしょ。下地には、なるべく軽いモルタルを使いましょうよ」
なるほどと思われる的を得た助言だった。
木の柱は、垂直荷重には想像以上に強いことを私は知っている。しかも今回は木造の3階建てのため、確認申請時に構造計算を義務付けられている。計算値では浴槽にいっぱいお湯を貯めても床が抜けることは無い。だが、実際あのホーロー製の浴槽の重さは半端ではなかった。調べてみると、なんと140㎏もある。さらにそこに300リットルのお湯が加わる。
腰を痛めながらも、責任感から何とか運び込んだホーロー浴槽を前に、彼は、きっと本音で思ったに違いない。
「この先、どうなってもオラ知らねえから」
荷重計算を頼りに、断言はしたものの、ある日突然床が抜けないとも・・・。
次の日私は念を押しておいた。
「なるべく軽いモルタルを使ってね。頼むよ」
建築家 可児義貴からメッセージ
ショールームでお客様からご質問いただく、「可児さんてどんな経歴?」から、「なぜ設計事務所が住宅建設を?」「職人集団『チーム・クウェスト』って?」「SE構法にしている理由は?」「これまでの建設実績は?」「ホテルのような家づくりとは?」「予算は?」まで、本音で語っています。