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念願のウオークインクローゼットのはずが

商売道具の健さん宅は例外として、通常、畳2帖分ほどの小部屋にハンガーパイプを何本も吊りこんで、帽子やバッグまで格納する方法は、雑多な衣類が外に出ないという意味では優れた収納方法だ。我が奥様も新築の際には、この小部屋を外すはずがなかった。場所は洗面脱衣室の近くか寝室の隣。脱いだものを取りあえずベットの上に放り投げられる利点を優先して、寝室の隣に設置することになった。

お洒落な生活を夢見た私達は、最初
「寝室と同じ位の広さにしよう」
と、話し合っていたが、現実は厳しく、間取りのせめぎ合いの結果、二人合わせて合計5帖くらいの小部屋となってしまった。実際に現場に行って見ると、意外に狭い。最初から入口は別と決めていたので、出入りの為の引き戸は2箇所できている。それはそのままに、真ん中にポリスチレン製の収納ボックスを互い違いに高く積み上げて、双方から使用できるようにしたところ、なんとかお互い我慢できる広さとなった。

また、ここは出入りが頻繁の為、引戸として床の敷居の溝が不要な上吊レールを使用した。ちょうど建具がモノレール状に吊られている方式となる。ホテルなどでは常識なのだが、住宅の分野では未だ珍しいかもしれない。

クローゼットの内装については杉の無垢板を貼るアイディアが浮かんだ。間伐材で安価な材料である。木の調湿作用を期待してこれに決めた。デザイン的には多少野暮ったく見えるが、誰に見せる場所でもないので許されよ。後日、帽子やベルト、それにバック類を掛ける為に遠慮なく壁に釘を打てたのがうれしい。石膏ボードでは、こうはいかない。現在もカビの気配は皆無である。

だが、ここでも全てはうまくいかない。普通の箪笥式クローゼットにない苦労もある。それは何か。広めのウォークインを保有する誇りは、ホコリ(埃)に悩まされる事になる。衣裳部屋と言うように、一応部屋なのだから、空気の量も多い。換気扇を常時運転するも、同時に寝室に飛散する綿ぼこりまで一緒に引き込んでしまう。結果、吊るしてある洋服は、半年間もほっておけば、白いホコリを身に纏うはめになった。

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