御殿山の家
敷地の南側には、広い道路を挟んで玉川上水に沿った並木が広がっています。その歴史と共に樹木も大きく成長し、その先に存在するであろう雑多な街並みの風景は影を潜めています。この沿道を偶然にも何度か往復する機会があった施主さんは、武蔵野の自然に惚れ込んで、この地に新居を建てることを決断されました。人や車の往来が目線にあることから、一階はコンクリートの塀とガレージシャッターで遮断する反面、二階からは大きな開口を確保することで街路樹の四季の変化が享受できるようにと、大開口を得意とする SE構法が採用されることになりました。
二階のリビングダイニングから同じ床レベルで迫り出した奥行きのあるバルコニーでは、お孫さん達が水遊びを楽しみにしているとのことでした。パッシブデザインの効果を期待して、軒の出を大きくしたことで、カーテンも不要となっています。
地域一帯が整然と区画された街区であることから、建ぺい率、容積率が最小に制限されて、希望の間取りの実現が難しく、結果として収納の為のスペースを地下室に確保する案が採用されました。
提案したのは、人が立てる最小の天井高の地下空間で、建設コストを大きく低減することになり、その上部を洗濯物干し場を兼ねた中庭にすることで、住空間の広がりも感じられます。
和風モダンをコンセプトに白木を多用し、建具の取手も極力なくす工夫をするなど、シンプルで上品なインテリアとなっています。
玄関や洗面室などの水廻りにはイタリア産大理石を適度に配して、高級感の演出効果も期待していますが、これらは全て石材工場の端材を利用したものでSDGsの試みの一端でもあります。

コンクリートの壁に囲まれた外観
余計な装飾を排除した端正な外観が求められました。

玄関アプローチ
街路に面して、玄関先には錆色の鞍馬石が鎮座し、個性を演出しています。

玄関ホール
格子状の内壁とイタリア産の大理石が調和した落ち着きのある玄関

シンプルな玄関ドアと収納扉

開放的で明るい階段ホール
鉄骨階段を採用することで、軽快な印象を感じることができます。

階段から中庭を見る
階段ホールに面した大きなガラス窓越しに、中庭に植えられたオリーブの木々が揺れています。


リビングダイニング
大きな開口部を確保して街路樹を眺められる広々としたリビングエリア。
厳選された家具の名品たちがさりげなく置かれた心地よい室内。壁一面に設置されたテレビボードは、あたかも床の間の現代版。

多目的な中庭空間
オリーブの大木が置かれた中庭は、高い塀に囲まれているため、洗濯物干し場としての実用性とお孫さんたちの格好な遊び場に。
