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風の道を考える

生き物として人間を見た場合、自然をコントロールするあまり、理想の環境作りから逆行し始めたのではないだろうか。特にこの首都圏と言う地域に限れば、それ程過酷な気象条件とも思えないのに、流行でもあるように高密度だ、高断熱だと騒ぎ立てる。厚手のオーバーコートで子供達をつつんでいるような気がしてならないのは、私の偏見なのだろうか。

こんな経験を重ねる中で、如何にこの自然の快適さを住宅の中に取り込むか。厳しい自然からは確かに身を守らねばならない。しかし、その優しさまで排除していないか、こんな疑問が私の中に生まれ始めていた。

私の住宅設計にとって、この光と風のテーマは、木造であろうと鉄筋コンクリート造であろうと変わらない。特に通風という面では、気密性の高いコンクリート造の住宅やマンションは、快適さを維持する意味で、無視できない。

風の流れが一番欲しいのは夏場である。夏には南からの風が多いことから、風の通り道はおのずと南北となる。とすれば、間取りを考える時、単純にこの風の道が出来るように出入り口や窓の位置も考慮しておけばよい。ただ、逆に冬場にはこの風の道は無用だ。具体的には、建具を閉じたり開いたりさせる装置を工夫することが求められる。

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