ARTICLE

「いったい、いつから始まるんだ(怒)」

関根氏が新しく購入した敷地は、ちょうど毎朝のジョギングコースの途中にあり、今か今かと工事が待ち遠しい。可児さんに全てお任せしたものの、もうずいぶん時間が経過している。隣の建売は、つい先日古家を解体したのに、もう基礎も終わって柱も建っている。

「おい、まだ何も出来ていないぞ。いったい、いつ始まるんだ(怒)」

「さあねえ、可児さんに直接聞いてみたら」
毎朝の夫婦の会話だったらしい。

それにしても手間がかかるSE構法である。それが最初から施主の希望であれば、もっと早く事が進んだのは事実。すべて任された責任感から、私の決断は確かに遅れた。より慎重にならざるを得ない。ようやく自分でも理解が深まり、工事の契約をしてからも構造計算や施工図のチェックなどで基礎工事の始まりが二ヶ月近く遅れた。

もちろんその間は更地の状態が続くわけだ。後で聞いた話、施主のご主人はこの頃、毎日イライラの連続だったらしい。無理もない。敷地は、人の背丈ほどある夏草でボウボウになっていた。

関連記事一覧

単行本

建築家が自邸を建てた その歓喜と反省の物語

Amazon&大手書店で好評発売中!

Amazonで買う

最新記事