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家を新築する時、それは人生最良の時かも

人生、結婚式に次いで晴れやかな瞬間が自宅を新築する時ではなかろうか。

翌日、三階の柱も交換され、午後には無事に棟木が座って屋根の小屋組みが完成した。これでやっと本来の上棟となった。今日も朝から後藤さんの姿がある。私の顔を見るなり
「本当にご迷惑をお掛けしました。どう、お詫びしたらよいものか」
と恐縮しかり。私としては、この言葉を待っていたわけでもないのだが、上棟が一日延期された分、クレーン車の費用や、応援の職人達の日当は予定外の出費となり痛かった。来月には必ず請求書が届くという現実がある。
通常こうした場合は請け負った工務店が費用を負担する。だからこそ「請けて負ける」と書く。しかし、私の場合は設計施工に挑戦し、工務店を兼ねているのだから、他人のせいにもできない。後藤さんは昨日の出来事を上司に報告し、会社として償いの案を用意していた。具体的に金銭での弁償は難しいものの、今後供給予定の合板などの材料の単価をギリギリまで下げてくれると言う。金額としては充分ではないが、その気持ちが嬉しかった。

それから数日、秋晴れの晴天が続き、工事はみるみる間に進んでいった。SE構法といえども、上棟が済んで、荷重を支える柱と梁が組みあがってしまえば、後の工事は一般的な在来軸組み工法とほとんど変わらない。

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