キッチン内のゴミ置き場を忘れるな
三階の明るいキッチンが全て良かったかと言えば、そうでもない。何にでも一長一短はあるものだ。一番頭を悩ませたのはゴミ捨ての問題である。そもそもゴミのストック場所は比較的涼しい一階の日陰に超したことはない。とかと言って、三階からいちいち下まで持っていくのも大変なことだ。ビニール袋の底から臭い汁がポタポタ落ちるなんて、もう想像しただけでも、胃のあたりからこみ上げてくるものがある。
以前の古家での間借りのような生活では、貯まった不燃物は軒先に、生ゴミは勝手口の土間に、いずれも大きなビニール袋に入れられ収集日まで放置されていた。妻も私も
「どうせ誰も来ないし」
とあまり気にならなかった。開き直りといってもいい。が、これからはそうもいかない。昔から
「身に着けるもので人の意識も変わる」
とよく言われるように、住環境の善し悪しでも人の行儀作法も変わっていくのではないだろうか。
実際のところ、一軒の家庭では、可燃ゴミに不燃ゴミ、そして空き缶、ビン用と最低3~4つのポリ容器が必用になることは経験的に分かる。これらの容器は当然床に並べて置くわけだから、相当のスペースが要るはずだ。位置としては、やはり家族の皆から目に付き難い場所が良いに決まっている。
自邸では、給湯ポットやトースターを置く予定のカウンターがダイニングからは見えづらい位置にあったため、その下を空けて、ポリ容器置き場とした。仮に、キッチンを陽と陰と分類すれば、陰の場所となるが、これがあるお陰で動きやすいキッチンスペースが保たれる
建築家 可児義貴からメッセージ
ショールームでお客様からご質問いただく、「可児さんてどんな経歴?」から、「なぜ設計事務所が住宅建設を?」「職人集団『チーム・クウェスト』って?」「SE構法にしている理由は?」「これまでの建設実績は?」「ホテルのような家づくりとは?」「予算は?」まで、本音で語っています。