ボンジョルノ ミラノ
「これまでに、一番数多く訪れた海外の都市は?」と聞かれると、多分、イタリア観光の拠点でもあるミラノだろうか。今回で確か9回目となった。航空機で片道12時間ちょっと。簡単に行ける距離ではないが、家具やキッチンを主体に、とにかく洗練されたデザイン力に毎回のこと驚かされている。
ドゥオモ広場を中心とした数々のショールームの位置も、ほぼ頭に入ってきたので、今回も地図を片手に足早で見て廻ることにした。「キャナイ ショールーム?」これで合っているかは定かでないが、店員の目線を気にしながらも、高級すぎてか人気のない店の中をくまなくチェック。「この積み重ねが今日のクウェストを形成しているのだ」なんちゃって。
二日目の午後、足首が痛み始めてきた頃に、街並みの建物の隙間に異様な建築物を発見。唖然として立ち止まること数分。どこかの雑誌で見たことのあるこの集合住宅、ここに建っていた。時間の経過とともに、バルコニーの樹木が茂り始め、トトロ化している。建築をオモチャのように遊んではいけないのだが、いつしか笑えてきた。
「なかなかやるのう、お主たち」
よく見ると、風で倒れないように樹木の一本一本が細いワイヤーで固定されているあたりが憎い憎い。
一日の締めは、毎夜、ネットで美味しいと評判のレストランへ。どこも開店が夜の7時半からというから驚きだ。
「彼ら、いつ寝るの?」 味は東京の洗練されたイタリア料理店には及ばないとしても、ともかく夜風が涼しい屋外のテーブル席の何と居心地の良いことか。ふと、周りに目をやれば、どの客も一様に楽しげな振る舞いだ。仕事を兼ねた旅行ほど充実感の伴う旅はない。ミラノへの10回目訪問、きっと有るに違いない。