隣に広い空地があったら要注意

新しく自分たちが住むことになる土地。もしかすると、一生ここで暮らすことになるかもしれない。本当にここで良いのだろうか。誰もがそう思うに違いない。

さて、我々が選んだ土地はどうか。南側の境界から二メートル程離れて、古い二階建ての木賃アパートが建っていた。一階部分の直射日光は期待できないが、二階以上は何とか憧れの日光を確保できそうだ。風通しは、まあまあのようだ。ただ、アパートの住人の視線を遮るための塀や目隠しが必要と思われた。

この南側に隣接した広い敷地には、同様な古い木賃アパートが数軒点在していた。その間隔は比較的ゆったりしていて、所々にケヤキの大木がうっそうと繁っている。昼でもちょっと薄暗い。実は私はこれが非常に気に入っていたが、このように南側が駐車場などで広く空いている時は逆に要注意。現在は良くても、将来大規模な建物が建つことが予想されるからだ。案の定、この土地はその運命にあった。

この千坪を越す森のような敷地では、十階建てのマンション建設がまさに始まろうとしていた矢先だったのだ。こういう大規模プロジェクトの場合、近隣紛争が起こりやすい。紛争がおきれば、当然、工事着工も延び、地主側にとっては多大な損害となる。「待ってました」とばかり、無理難題をふっかけて補償金をガッポリ頂こうとする困った輩もいる。

ということで、近隣対策を担当していた会社から、地主は一切個別に交渉しないようにと釘をさされていたらしい。そこへ何も知らない私達が面会を申し込んだ。地主は会いたくても会えなかったわけだ。

建築家 可児義貴からメッセージ

ショールームでお客様からご質問いただく、「可児さんてどんな経歴?」から、「なぜ設計事務所が住宅建設を?」「職人集団『チーム・クウェスト』って?」「SE構法にしている理由は?」「これまでの建設実績は?」「ホテルのような家づくりとは?」「予算は?」まで、本音で語っています。