適材適所
私がリタイアして、もしこの自然豊かな高知に住むとしたら、やはり「土佐派の家」に住みたいと思う。広い縁側に寝そべって、カツオの叩きで一献。明日はゴルフか釣りか真剣に悩んでみる。まんざら悪くもなさそうだ。
逆にこの都会の喧騒の中だとしたら、迷わず鉄筋コンクリート造にして、窓がすべて中庭に面する閉じた箱のような家がいい。
これらを例にするまでもなく、建築の構法は、絶対これが良いというものはなく、むしろ住宅が建設される環境に素直に従うべきものだと思う。もちろん、そこに多少の個人の趣味、嗜好が加味されても許されよう。住宅の分野でも世界に知れた名建築は、どれも周囲の環境に見事にマッチしていて、構造も十分練られているものが多い。
ところで、最近の都心では防火地域といって、住宅であってもRC造や鉄骨造しか認められない地域が増えている。防災という面からみれば当然かも知れないが、一見冷たく無機質に見えるコンクリートの外壁が連続する街並みを想像してほしい。私には殺伐とした未来が見えるようで、本当に文明が進んでいるのか疑問に思えてくる。
ただ、RC造の住宅であっても、内部に木材などを取り入れることで、暖かさや優しさを感じる内部空間を実現した例もある。外観でも、植栽の工夫などにより、建物に息吹を感じさせることだってできる。言ってみれば適材適所。やりようはある。
建築家 可児義貴からメッセージ
ショールームでお客様からご質問いただく、「可児さんてどんな経歴?」から、「なぜ設計事務所が住宅建設を?」「職人集団『チーム・クウェスト』って?」「SE構法にしている理由は?」「これまでの建設実績は?」「ホテルのような家づくりとは?」「予算は?」まで、本音で語っています。