道路と境界(2) - 敷地には規制がある - SE工法、重量木骨、注文住宅なら一級建築士事務所 QUEST クウェスト

建築家の自邸、満足と反省の物語

道路と境界(2)

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  メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語」

  2002/4/2(できるだけ毎週火曜日発行)

  第2章 敷地には規制がある

   2.道路と境界(2)

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□ ご購読感謝

みなさま、こんにちは。はじめまして。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。

このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸
を建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。



■ 2.道路と境界(2)

 この敷地の入手を決断する際、近所の空き地に荷造り用のビニールテープを
貼って敷地と道路の関係を写しとり、何度も車の出入りを試みた。その結果、
相当厳しいことは覚悟していたので内心うれしさが込み上げてきた。
数日後、地主のN氏にこのことを確認すると、「4M間口」をいともあっさり
認めてくれた。「ツキがある。」そう思わずにはいられない。ついでに敷地の
境界をいっしょに確認することになった。

 通常、土地の売買契約をする時、買主は、これまでの所有者に対し、隣地と
の境界を明確にしてもらうよう請求することが出来る。仮に境界線の角に標識
が在ったとしても、隣の人との立会いを仲介者に頼んで実施できればそれがベ
スト。測量図を新たに作るのであれば、境界石や塀の所有を明確にして、隣地
の所有者と互いに署名捺印を取り交わしておけば後々のトラブルを回避出来る。

 私の場合、東南の角の境界石が見当たらなかった。周囲のブロック塀の様子
から想定は出来たので、その場で隣地のA氏に立会いを依頼してポイントを決
めた。地主のN氏がその場に居たこともあり、円満にことが運んだ。

 後日、地主が知り合いの測量士に依頼して、新たにその東南の角に境界石を
入れることになった。すると驚くべきことが発覚した。原則として土地の境界
は、点と点を結んだ直線となる。北側の境界石と新しく設けた境界石を結ぶと
その線上にある筈のブロック塀が曲がって、私の方の敷地は広くなっていたの
だ。よく見ると、塀が湾曲している位置に巨大な切り株がある。どうやらこの
大木が、成長に合わせて塀を北側に押しやったらしい。昔からこの地に住んで
いる地主のN氏も驚いていた。自分の敷地なら、なにやら得した気分になりそ
うだが、悲しいかなここは借地、冷静な目でことの成り行きを見守ることにし
た。

 まずこの塀がどちらの所有物であるか確認することになった。両端の境界石
はブロック塀の真中にあった。この点では塀は両者の半々の所有と思われる。
しかし、控え壁は全て北側の隣地側に在った。一般的に敷地の境界に沿って立
つ塀は、控え壁のある敷地に属することが多い。面倒なことになるのかと不安
がよぎった。地価の高い都心ではわずかの差でもン十万にもなる。いくら自分
の土地でないとはいえ、隣人とモメるのは避けたい。

 が、それは取り越し苦労であることがすぐにわかった。なんと押しやった北
側の隣地も、N氏の所有地で借地だったのだ。ブロック塀自体にも亀裂が入り
危険な状態だったので、結果的にはN氏の負担で新しくアルミのフェンスに取
り替えることになった。

 これまでのブロック塀と違って風通しもよく、軽量なので控え壁も不要にな
り、事実上、土地が広く使える。こう書くとN氏は、地主の鏡のような人物に
聞こえるが、それはやや尚早。私が新たに新借地人となったお陰で、彼の口座
にはある日突然、「名義書換料」と「建て替え承諾料」として一千万円近くも
の大金が振り込まれている事実を忘れてはいけない。


(つづく)

 
 
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