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SE工法(SE構法)の欠点

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SE工法(SE構法)との出会い、それは15年ほど前の暑い夏の日だった。

岐阜県のほぼ真ん中を清流の飛騨川が南北に流れる。その川縁の街道沿いに大きな製材所がある。実家に帰省中の私は、ぶらりとその倉庫群に立ち寄ってみた。辺りに漂うヒノキや杉の針葉樹の香りが心地よい。

この本社が近くにあって、集成材の工場も見せてくれるという。ここは日本有数の集成材の加工技術を誇る優良会社で、体育館などを造る技術を住宅建築にも生かしたいと熱い説明を受けた。地元の会社が夢に向かって努力している。故郷の産業の普及のためにも一肌脱がねばなるまいと考えた。

「で、東京での実例はあるの?」

「まだありません。」

それでは話にならない。早速、自分の仕事で実際に採用してみることにした。結果は及第点。だが、その代償も大きかった。

骨組みは全て工場加工のため正確無比。梁も太いので、上棟時には圧倒的な存在感がある。「地震に強いSE工法」のキャッチコピーにも納得した。だが、作り進むうち、梁のしなりに気付き、鉄骨の補強を余儀なくされた。また、足音の反響が大きく、急きょ遮音シートを敷き詰めるなどの対策を講じざるをえなかった。構造計算上は問題ないにしても、日常の生活に支障が出ることを懸念したためだった。SE工法の最大の弱点(SE工法のデメリット)はここにある。

以来、当社では、独自のノウハウを蓄積し、この欠点を克服しつつ20棟以上の実績がある。細かいことでは、まだまだ改善点は多い。が、ここさえ心得ていればSE工法は優れた木造技法のひとつと思われる。ちなみに、現在もSE工法のパンフレットには、当社の施工例が2カットも採用されている。

【参考】

『建築家が自邸を建てた』(その歓喜と反省の物語)

※ 当社は、New Constructor’s Network のSE構法登録施工店でもあります。

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