建築基準法と条例(1) - 敷地には規制がある - SE構法、重量木骨、注文住宅なら一級建築士事務所 QUEST クウェスト

建築家の自邸、満足と反省の物語

建築基準法と条例(1)

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  メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語」

  2002/2/19(できるだけ毎週火曜日発行)

  第2章 敷地には規制がある

   1.建築基準法と条例(1)

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□ ご購読感謝

みなさま、こんにちは。はじめまして。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。

このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸
を建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。



■ 1.建築基準法と条例(1)


 いつもの事だが、設計を始める前が一番胸が踊る。映画館でブザーが鳴り、
照明がだんだん暗くなってゆく時のあの期待感に似ている。ましてや、これが
自邸の設計ともなれば、これまでにも増して緊張感が走る。出来上がった建物
に何の言い訳も出来ないという不安と、自分の思うがままに設計をして本当に
イイの?というある種の高揚感が入り交じる複雑な心境は、勿論初体験であっ
た。

 胸の高鳴りを抑えつつ、まず敷地の測量図を改めてじっと眺めた。この土地
を購入するにあたり、おおよその立体的なカタチは頭に浮かんでいたが、初心
に戻って法的な諸条件を頼りに一連のボリュームプランの作成に取り掛かった。
この作業を通して、その敷地に建てる事が出来る最大の立体を白い紙の上に描
き出す。勿論この段階では窓も無く、粘土の塊のような物体が登場するのであ
る。もし私が作家であれば「法律が造りだす彫刻」とでも表現するところだ。

 住宅の規模のレベルでは、はっきりいってあの難解な建築基準法などの諸法
令と格闘するまでには至らないが、その地域によってさらに細かい法規制が制
定されているので要注意。これは一般的には条例と呼ばれ、ちなみに東京都で
は「東京都建築安全条例」と言う。建築基準法は全国一律のものだから、気候
や風土が大きく異なるわが国の場合、むしろもっと地域によって特色が出るよ
うな、前向きの法規制があっても良いのではないかと個人的には考えているの
だがー。

 さて、この地域によって多少異なる条例の内容を理解し、その規制を設計に
落とし込んでいくと実に痛いところを突いていることが多い。つまり、その与
えられた敷地だけを取り出して、そこに最も有効な建物を建てようとすれば、
必ずと言って良いほどにこれらの法規制に引っ掛かる。

 ちょっと固い話。建築関係の法律は大きく二つに分けられる。ひとつは、建
物そのものが安全で快適さを保てるよう建て主に有利な規制(単体規定という)
もうひとつは、逆に建て主の勝手な振る舞いを制限することで周辺の環境に与
える影響を配慮した規制(集団規定)である。住宅設計の場合は主にこの集団
規定で頭を悩ますことが多い。特に敷地が限られる都市部の住宅地は顕著だ。

 まずその都市部で住宅の設計を進める際、設計者が一番苦労するのは、きっ
と斜線制限だろう。良好な住環境を保っている地域ほど、この規制はきつくな
っている。確かにこの規制で、建て主の勝手な振る舞いが規制されているが、
結果として建物の形態はぶざまになり、街区の景観は損なわれている。

よく街を歩いていて、思わず吹き出してしまう滑稽な建物を見かけることがあ
るが、決して設計者ひとりの責任でもない。この条例を作った委員のセンスの
欠如を責めるわけにも行かず、心ある設計者達は、何とかその規制をクリヤし
た上で、建物の形態のバランスをとろうと懸命に努力している。法律の中でも
見直しが必要なものが多く存在しているのだ。

 幸い私の自邸の敷地はこの斜線制限が多少緩い。駅に近く、良好な住環境と
いうより、利便性に比重を置いた地域計画のもと、店舗や小さなビルが混在し
ている雑多な地域だ。ここでは3階建てまでは斜線制限の影響は受けない。日
頃からこの規制に悩まされている私が、この地域を選んだ理由の一つがここに
ある。均整の取れた建物がすくっと建つのである。ウッシッシ。


(つづく)

 
 
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