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形の違う水栓がふたつ、変じゃん

さて、この洗面室、引っ越して暮らし始めてから家族の皆が首をかしげた。
「チョット変じゃない?」
実際のところ、違った形の水栓がふたつ並んで、自分でも少々違和感があった。
「どちらが使い易いか、パパの仕事の実験のためだ」
と家族には力説して廻ったのだが、ホテルの仕事の中で、モデルルーム用に使用したものをタダで入手できたのだから文句は言えない。
この水栓について、結果としてどちらが使用勝手が良かったのか。実は今でも結論が出ていない。握り玉が分かれているタイプでは、お湯か水か、出てくるものがはっきりしているので分かりやすい。真夏に冷たい水で顔を洗いたい時などは、迷わずこちらの水栓に手が伸びる。冬もまた同じ。給湯器自体でお湯の温度は制御されているので、お湯の握り玉を廻しても、いきなり熱湯が出ることはない。
一方、レバーハンドルのものは、輸入品ということもあるのか、水の勢いが半端でなく凄い。いつも思うが、この爽快感がたまらない。勿論、レバーを上げ下げするだけなので、石鹸を使いたい時も便利だ。結局のところ両者引き分けとなる。それでも強いて優劣をつけると、デザインで凝れば握り玉スタイル、使用勝手で選べばレバーハンドルにやや軍配が上がる。

ついでに、給湯について一言。洗面室や浴室、それにキッチン。これらに給湯する場合、どこに給湯器を設置したらよいか。私は設計時に、このことを真剣に検討をしなかったが、これがいけなかった。言い訳めいているが、何しろ、それまで住んでいた古家では、水廻りのスペースは極端に狭く、それぞれの場所がくっついていたので、給湯器も近くにあり、お湯はどの水栓からも直ぐに出てきた。
しかし、新居では様子がやや違った。一番頻繁に使用するキッチンを優先したので、結果として給湯器から洗面室が最も遠くなってしまった。キッチンでは、お湯を大量に使用するがそれほど急を要しない。しかし、冬場の洗面室では、なかなかお湯が出てこないのでイライラすることがある。教訓になった。今後の設計では、給湯器を洗面室に一番近い所に置くことにしよう。こうすれば、私以外の施主はあのイライラから開放されるに違いない。

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