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メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語」
2001/11/13(できるだけ毎週火曜日発行)
第1章 土地を選ぶ
4.周辺の環境を読む(1)
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□ ご購読感謝
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みなさま、こんにちは。はじめまして。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。
このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸
を建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。
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■ 4.周辺の環境を読む(1)
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新しく自分たちが住むことになる土地。
一生ここで暮らすことになるかもしれない。
本当にここで良いのだろうか。誰もがそう思うに違いない。
価格とともにバランスのとれたよい環境にある土地は誰にでも魅力的。だから
こそ、購入するかしないかの判断も急がされる。
どう判断すべきか。
建築設計についてはプロを自認していても、土地の評価は素人に毛が生えた
程度。参考になるかどうかわからないが、足しになれば。
まず当たり前のことだが「直射日光が得られるか」
これまでの古家は、南側に3階建ての民家が手の届く位置に接近しており、採
光の工夫など皆無に建てられていたため、道路に面した東側から、2階の小さ
な窓を通して、日に1時間程しか直射日光が差し込まなかった。
その反動もあり、私達にとって採光は憧れだった。
一般的には、南側に庭を確保するか、南の隣地が空いている土地を探すか。
その点、南道路に接している敷地は有利であるが、道路に向かって開口部をと
ることになり、通行人からプライバシーを守る配慮が必要になる。
幸い、これまでの設計の経験で、たとえ南側からの採光が期待できなくとも、
新たに創る建物を工夫することで、明るく風通しの良い家が実現できる自信は
あった。
高窓、地窓、天窓、中庭、光庭などを巧みに配置した名建築は多い。
建築家の腕のみせどころだ。
もし、古家を建て替えていたなら、私のすべての英知をそそぎこんだ建物にな
っただろう。建築家のはしくれとしては、ちょっと惜しかった気もする。
さて、我々が選んだ土地はどうか。
南側の境界から2メートル程離れて、古い2階建ての木賃アパートが建ってい
た。1階部分の直射日光は期待できないが、2階以上は何とか憧れの日光を確
保できそうだ。
風通しは、まあまあのようだ。
ただ、アパートの住人の視線を遮るための塀や目隠しが必要と思われた。
アパートの持ち主は、ウチの地主らしいから、あとで交渉しようと思った。
この南側に隣接した広い敷地には、同様な古い木賃アパートが数軒点在してい
た。その間隔は比較的ゆったりしていて、所々にケヤキの大木がうっそうと繁
っている。昼でもちょっと薄暗い。私はこれが非常に気に入った。
が、このように南側が駐車場などで広く空いている時は逆に要注意。
現在は良くても、将来大規模な建物が建つことが予想されるからだ。
案の定、この土地はその運命にあった。
この1000坪を越す敷地では、10階建てのマンション計画がまさに始まろうと
していた矢先だったのだ。こういう大規模プロジェクトの場合、近隣紛争が起
こりやすい。紛争がおきれば、当然、工事着工も延び、地主側にとっては多大
な損害となる。待ってましたとばかり、無理難題をふっかけてお金をもらおう
とする困った輩もいる。
ということで、自称(?)気の弱い地主は、近隣対策を依頼していた業者か
ら一切、個別に対応しないようにと釘をさされていたらしい。そこへ何も知ら
ない私達が面会を申し込んだ。地主は会いたくても会えなかったわけだ。
「10階建てのマンション計画」
地主の指定した管理会社に連絡をとった私は、このことを聞いて目の前が真っ
暗になった。ああ、だから誰も入札しなかったのか?
(つづく)
