道路と境界(1) - 敷地には規制がある - SE構法、重量木骨、注文住宅なら一級建築士事務所 QUEST クウェスト

建築家の自邸、満足と反省の物語

道路と境界(1)

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  メールマガジン 「建築家の自邸、満足と反省の物語」

  2002/3/19(できるだけ毎週火曜日発行)

  第2章 敷地には規制がある

   2.道路と境界

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□ ご購読感謝

みなさま、こんにちは。はじめまして。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。

このメールマガジンは、これから家を建てる方のために、建築家の私が自邸
を建てたときのエピソードを物語風にアレンジしたものです。
少しでもみなさまの参考になれば幸いです。



■ 2.道路と境界

 「敷地の良し悪しは道路付けによって決まる」とは、よく聞く話だが、私達
の敷地の場合、それは最悪に近かった。勿論それは百も承知で購入したわけだ
が、実際に設計を進めて行くと、これによる制限が待ち構えていた。まず前面
道路の道幅が4メートルに満たなかったので、現状の道路の中心線から2メー
トルのところまで後退して道路と敷地の境界が決まった。後退した部分は道路
として寄付することになる。

 次に道路に面する間口が問題。基準法では、最低2メートル接していれば良
いのだが、現況では3メートルちょっと。これでは車の出入が辛い。と同時に
間口が4メートル以上無いと3階建ては建てられない条例があったような記憶
がある。慌てて区の指導課の担当者に確認をとった。

「ああその条例は2年前から緩和されていて問題ありません。」
「なんか神様が建てていいよと微笑んでいるみたい。」
ことの重要さを察して、役所まで同行した妻が耳元で囁く。

 ついでに現在建っている古家が新築したときの建築確認申請の書類を閲覧す
ることにした。所轄の役所では、配地図が記された簡単な概要書が必ず保管さ
れていて、誰でも閲覧できる。そこで、更に驚きの事実が判明した。なんと、
前回の確認申請の配地図では道路に面する間口がはっきり4メートルと記され
ていた。しかも図面は青焼きなのに、そこだけ設計士の手書きで、訂正印まで
押してある。何かの意図を感じる。

 現在建っているアパート付きの古家も、条例では特殊建築物として住宅とは
はっきり区別されている。そして、この特殊建築物は、条例改正前のはずだか
ら道路に4メートル以上接していない敷地では許可されない。しかし、実際の
ところ現況の境界石の間隔を測定すると4メートルに満たないのだ。私はそこ
にドラマを予感した。松本清張だったらここからミステリーが生まれるに違い
ない。

 私の推測では、この条例に抵触した前の建て主は、きっと地主に相談を持ち
かけ、間口を4メートルに広げてもらったのに違いない。地主もどうせこの辺
り一帯が自分の敷地なので、特に問題は無かったのだろう。ただ、前の建て主
は、自分が借りている敷地の中に、車を進入させる必要が無かったため、あえ
て間口を広げる行為に至らなかったのではないか。

 この土地は競売で購入したため、前の建て主と面識が無く、真実を聞くこと
はできないが、ともかく指導課の担当者の「間口4メートルとして認定します。」
の声は当時の私達には力強いエールに聞こえた。「これで車が楽に入る。」


(つづく)

 
 
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